感謝を送ったあの日。

2003年、阪神タイガースセリーグ優勝記念パレード。雨の中多くの人々が沿道に集まったのは、単に選手を見てみたいといったようなミーハー根性 ではない。誰もが、十数年ぶりの感動を味わわせてくれた監督や選手に、自らの感謝を伝えたかったから。だから、雨は苦じゃなかったし、むしろ感謝の大きさ を伝えるチャンスだった。


一団を乗せた車両がようやく姿を見せた瞬間、胸が一杯になった。感謝の言葉を出そうにも、口は引き攣るのに精一杯。感謝の気持ちで満たされて、言葉も出せないまま、なぜか涙が流れてきた。なんとか感謝の気持ちを伝えたい、そう思った。

ふと、パレードカー上の伊良部が、目に入った。特に手を振るでもなく、ボーッと立ってるように見えた。

(こんな時に、ボーッとしてる場合ちゃうぞ!)

そう思ったおれは、泣き気もどこかにいったのか、いつの間にか思いっきり叫んでた。

「伊良部--っ!!」

声が聞こえたのか、伊良部も手を振り始めた。車は動き続け、その他は桧山や藤本を見た気がする。本当に思い出深い日になった。

パレードカーが通るときは、雨が降ってる中、みんな傘を降ろした。みんなが車を見えるように、自然にそうなってた。そうやって、僕らの感謝を伝えたかった。その後は、雨の中を難波まで歩いて帰った。六甲おろしを歌ってる連中もいた。